海苔漁師の日常〜12月編〜
今回は『海苔漁師の日常〜12月編〜』を紹介します。
元サラリーマンだった私は22年8月から宮城県七ヶ浜の海苔漁師として新たな人生を歩み始めました。
陸から海へ、職種も全く異なるものですが転職して5ヶ月が経ちました。
海苔養殖は冬季が本格シーズンですが、8月から作業は始まっています。
8月〜11月までの作業内容も別記事で紹介しています。まだ読んでない方は是非とも合わせてご覧ください。
今回は12月編です。
海苔の摘み取り〜出荷まで一連の流れが12月に終了しました。
これからは摘み取り&加工・出荷の同じ流れが5月初めまで続く予定です。
詳しく紹介します。是非ご覧ください。
12月は『海苔の初競り』
8月から育ててきた海苔が11月末に乾海苔となりました。
12月は乾海苔を市場に卸し、初競りが行われます。
いままで苦労した成果が実った瞬間です。
今月も時系列に沿って詳しく紹介します。
12月上旬
成長した海苔網の摘み取り
11月に初摘み取りが行われましたが、12月に入ると他の成長した海苔網も順次収穫を始めます。
一度摘み取った海苔網も1〜2週間経つとまた収穫できる量まで成長します。
私たちが育てている海苔養殖場は全部で12箇所、網の枚数は480枚あります。
そのため一度収穫を始めると連日摘み取り作業が行われるようになります。
乾海苔への加工
摘み取った海苔は陸にあげて乾海苔へ加工します。
そのため摘み取りの日は朝イチに摘み取り、昼から乾燥作業となるため1日がかりで乾海苔を作ります。
陸に戻ったら船から乾燥庫までタンク車に移し替えて移動します。
タンク車にはポンプを利用して船から海苔を汲み上げます。
※水滴がついてぼやけた写真になってます
汲み上げて海苔は乾燥庫まで運ばれ、海苔をためておくタンクに移されます。
タンクに移し替えた海苔は配管されたパイプを通って『洗浄機』『選別機』『調合機』の順に通過します。
海のゴミや汚れを落とした海苔は最後に『乾燥機』を通り乾海苔に加工されます。
乾海苔になって出てくるまで約4時間ほどかかります。
乾海苔になって出てきたら自動で帯が巻かれて出てきます。
出てきた乾海苔は漁協指定の段ボールに入れて出荷準備が完了します。
ここまでを摘み取りした日は一連の作業としてやり抜きます。
12月中旬
市場に出荷
摘み取って加工された乾海苔は市場・漁業組合に出荷されます。
出荷する日時は各海苔屋ごとに決められています。
12月は合計3回出荷しました。
出荷した海苔はその日のうちに検品が行われ等級が決まります。
海苔の等級は各漁業組合ごとに異なります。
JFみやぎでは『優A』が良い等級とされています。
検品された海苔は漁業組合が管理し、後日競りが行われて価格が決定します。
各海苔屋には競りが終わった後に等級別の価格表が配られます。
松島の撤去作業
海苔の出荷まで一連の流れが終わりひと段落したら、合間をみて来シーズンに向けた準備を始めます。
12月中旬に9月〜10月に松島の育苗で使用した筏を撤去しにいってきました。
育苗で使用した筏の撤去は各海苔屋タイミングをみて行います。
9月から設置した筏には多くの海藻が絡みついており撤去に時間がかかりました。
例年なら11月下旬に撤去を始めるようですが育苗が遅れたこともあり撤収が後ろ倒しになりました。
海藻類が多く付着した理由は温暖化が影響しているようです。
※以前は海藻類の付着は少なかったようです。
撤収した筏は自分たちの港に持って帰り来シーズン使用できるようメンテナンスを行います。
12月は筏の撤収のみ行い、4月以降に細かくチェックし壊れている部分は修理します。
12月下旬
同じ作業の繰り返し‼︎
浮上筏の撤去が終われば沿岸漁場での養殖に集中します。
12月になると水温がいっきに下がり海苔の成長も著しいため『摘み取り→乾海苔加工』を繰り返し行うようになります。
摘み取った海苔網は2〜3週間すれば再び収穫時期を迎えます。
※海苔網1枚から1シーズンに3〜5回は摘み取りが可能
海苔網の収穫回数が増えると次第に網の成長が乏しくなります。
成長が乏しくなったら他の網と入れ替え成長したら収穫作業を行います。
この流れは4月中旬〜5月上旬まで続きます。
12月で海苔養殖一連の流れはひと段落
今回は『海苔漁師の日常〜12月編〜』を紹介しました。
松島湾で育苗した海苔網を10月下旬から沿岸漁場での養殖が始まり12月末までに計4回出荷をすることができました。
摘み取り作業が始まると海苔網を管理するペースが速くなり連日忙しくなります。
海苔摘み取り最盛期は12月〜4月、長いと5月まで続きます。
皆さんに美味しい海苔を食べてもらうために各海苔屋、寒さに耐えながら作業しています。
是非とも旬な今だからこそ海苔を味わってみてください♪
今後も海苔漁師の日常を更新していきます。
また次回の記事でお会いしましょう。それでは〜